旧札樽国道 (SD-04)


小樽の街は騒然としていた、アメリカ空軍の?爆撃があるらしい。一部の人達は札樽国道を使い札幌方面に逃げようとしている。(もう数十年前から札樽間は高速化していて、元の海岸沿いの札樽国道は今使われているかどうかは分からない)国道は人でごった返している。熊碓へ抜けるトンネルは鉄骨の頑丈な構造体に変わっていた。下は車道で我々は上の歩道を通っていく。女房はその入り口にあるトイレに入り、僕は先に左側の歩道に入った。SF映画に出てくるような金属だらけの通路である。(パイプがむき出しであったり、機械の骨組みがそのまま見える。映画エイリアンで観た貨物宇宙船の内部のようである…)トンネルではなく金属の屋根がかかった巨大な構造体のように見えた。こんなものはミサイル数発で瓦礫と化すだろう。

結構長い距離を歩き外へ出た。左側は熊碓海岸である。国道の先は急勾配の登りになり左へと湾曲している。その坂の上から巨大な戦車が降りてきた。さらに自走砲軍用車両がドンドン下りてくる。多分自衛隊だろう。右側の山側を見ると奥の方に広大な空地が見え軍事施設があるようだ。(ヒョットすると朝里海岸か?)左の海岸の沖を見ると、灰色の海と空の間に多数の食パンのような形をした氷山が見える。それは海を埋めていて頭頂部に目玉のようなものも見える。船であれば碇穴?だろうか。不思議な光景なので、写真を撮ろうとして右側の出口から出てきた、カメラを持っている女房に声をかけた。聞こえないのでさらに大声を出した。と、突然ドカーンと大きな爆発音が山側の軍事施設のほうから聞こえた。既に攻撃が始まっているのか?女房の眼がそちらに釘付けになっている。僕は再び海のほうを振り返った。すると海は霧が立ち込めてきて、あの食パン目玉氷山のお化けは霧の中に消えていった。

この巨大な機械の通路は以前にも夢に見た記憶がある。もう数十年も前か?それと僕は2〜3才の頃に実際、熊碓海岸の地平線を埋めるアメリカ海軍を山の上から見ている。この時は戦後間もなくソ連の北海道侵攻を懸念し、アメリカ海軍が北海道周辺を一大デモンストレーションしたものだ。灰色の海と空の間、地平線一杯に軍艦が海を埋めていた。多分数百隻の軍艦が。小さい頃なので見分けはつかなかったが、戦艦も航空母艦巡洋艦駆逐艦も補給艦もいただろう。灰色の海を埋め尽くす灰色の軍艦の群れ…。これでは日本が勝てる訳はない。

眼を覚ましTVをつけると、NHKの日曜討論会で沖縄問題をやっていた。森本や田中らの論客達が沖縄、普天間問題に限らず、日米安保の現在の位置・意義、将来の展望、東アジア共同体のビジョンについて、広範な視野で討論していた。簡単に言うと今までの自民党の疑問を持たない対米外交、追従外交を(経済政策も同様、今までの成功体験でしかものを考えられない…)鳩山が日本の自主的思考と対等外交を前面に打ち出した。その良し悪しは別として、時代的、国際的に日本は自分の考え方、論理が必要になってきている。つまり国家運営に創造性が求められ来ているのである。アメリカの言う通りやっていけば全て上手くいくという、下手をすれば無責任な国家運営姿勢を見直さなければならなくなって来ている。アメリカ自身も経済的に大きな失敗をしている。これは民主党、鳩山の姿勢・方針だけではなく、時代が日本の真の独立、自主性を求めて来ているのではないのだろうか?

つまり時代の大きな変わり目で、時代の要請に従い民主政権が誕生したと考えられる。だから鳩山が多少フラフラするように見えるのは無理のない事だと思う。国民は目の前の現象だけではなく、もっと大きな視野で鳩山内閣を見守らなければならない。日本は今ガイドのいない大きな分かれ道に来ているのだから…。これは日本国民の知性と創造性の問題である。日本人は昔から目先、あるいは扇動で動いてきた軽率な部分がある。…日露戦争時の新聞の誤った報道・扇動に乗せられ激昂した国民(これは司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読めば良く分かる)参謀本部や大手新聞の扇動でのめり込んでいった太平洋戦争。戦後の左翼運動も同様、大手新聞が持ち上げた共産主義は崩壊した。

話を元に戻し、この訳の分からない夢、小樽の街の混乱。空爆の恐れ、自衛隊の移動。でも大部隊ではなくパラパラという程度のもの。多分自衛隊の力はそんな程度だろう。海を埋める灰色の氷山。顔と目玉をつけたその不可解なものは一体何だろう。ヒョットすると今の沖縄問題とも関わるのか?米軍基地の主力が北海道に移ってくるのか?しかし北海道では、対ロシアに関しては地理的に優位性があるが、対中国、朝鮮半島、東南アジアに対しては効力があるのか?まあ全く無意味な夢かも知れないが…。  (2009年12月20日