アウトオンナリム (ND-03)

10年以上も前にシャーリー・マックレーンの「アウトオンナリム」を読んだ。このタイトルは木になるおいしそうな実を取るためには、木に登り細い枝の先まで行かなければ取れないという、結構危ない喩えのようだ。これはシャーリーがスピリチュアルに導かれる自伝的な本で、アメリカでベストセラーになり、ビデオも出ている。勿論主演はシャーリーである。シャーリーはご存知のように昔カナダのトルドー首相?と恋仲になった。勿論不倫であるから極秘裏に行われ、しかもシャーリー自身もトルドーも大きく傷ついた。どうしてこんな事になるのだろうという疑問に彼女は立ち向かい(さすがアーリア人?)どんどんスピリチュアルな世界に踏み込んでいった。というよりは導かれていった。

その為に彼女は色々な体験を積んでいく。まるで授業のように。ノルウェイ人の老シャーマンや、アメリカ人の若いシャーマン、彼らはそれぞれ過去に死んだ霊を呼び出して、憑依した霊が予言や注意を告げる。彼らの周りにはその町の多くの人たちが集まり、それぞれ自分への予言、注意を聞いていく。これはアメリカインディアンのシャーマンも、多分鬼道をよくする卑弥呼も同じであろう。これはまた昔僕が小樽で見聞きしたこととほぼ同じである。つまり小樽の町で有名な祈祷師が何人かおり、その祈祷師(シャーマン)は集まった皆や、我が家の場合は毎月自宅に来てもらいその月の予言や注意を聞く。何日に姉が風邪を引くとか、何日に母が交通事故に会いそうだとか、父の会社での人間関係や確執まで話す。そしてほとんどの確立で当たる。それと祈祷師はやはり仏壇に向かい多分お経らしきものを激しく唱えやがて神がかる。やはり何かが憑依するのである。僕も何度か危ないところを救われた。

シャーリーはその内若い男性と知り合う。街で買い物をしていた時のある店の店員だ。品物を届けに来た店員は驚くべきことを言う。自分しか知らないシャーリーの秘密や悩みを言い当てるのである。そしてやがて彼に導かれ新たな世界へ入っていく。彼らはアンデスに旅行し高い山の上にある温泉につかり、リラックスしているうちにとうとうシャーリーは幽体離脱する。彼女の霊魂はどんどん地を離れ宇宙に向かう。そしてアッという間に地球と月の中間まで来てしまう。月はドクンドクンと独特の振動を持っており不気味だった。彼女はこれ以上行くと危険だ、戻れなくなると思うとアッという間に地球に戻り元の温泉の中。そこで彼女は魂を飛ばすことを体験するが、ただ細い銀の糸が彼女の体と魂を結んでおり、これが切れると魂がその人を離れる、つまり死ぬと言うことを理解する。これも小樽のシャーマンから聞いた話と符合する。彼女は熊野へいき数年の激しい修行をする。ある時師匠が今日はあの高い山を飛び越えると言う。彼女はとてもそんな事は出来ないと言う。しかし出来た、つまり魂を飛ばしたのである。これはそんなに特殊なことではなく、普通の人がある日仏門に入り、激しい修行を繰り返していき、人間の5欲を大きく制限していくと、やがていわゆるシャーマンの能力が身につくと言う。

シャーリーはそんな事でどんどんシャーマン的能力を身につけていく。そして自分の苦しい恋のことも分かってくる。つまりトルドーとは大昔からのつながりで、やはり生前のある時期同じような苦しい恋をする。彼はアトランチスの行政官で、彼女はやはり彼の恋人である。なんという遠大な因果のめぐりだろう。彼女はさらにアンデスで宇宙人の女性にも出会い、まるでSF小説のようである。しかしまじめに語っているから、ビデオにまでしているから、あながち創作とはいえない。僕も魂を飛ばしてきた人に何度か会っている。(というより金縛りに遭って怖い思いをした…)一度だけだが見たくもないUFOにデモンストレーションをされた。(ふざけやがって…)だから素直に霊魂の存在も信じ、死後の世界も有ると思っている。そして死後の世界は灰色で退屈な世界だと思っている。だからたいしたことのない人生でも、生きているうちが花だと思っている。だから糖尿病でもがっかりせず、せいぜい残された人生を楽しむことにしよう。  (2009年9月30日)