真っ暗闇の夢 (PD-03)

時々真っ暗闇の夢を見る。今日もそうであった。暗闇の中小樽の家に女房と二人でいると、ノッポとチビの二人の男が入ってくる。強盗かと思い怖くなり女房と外へ逃げ出す。真っ暗な町の中を歩き回り途中まで戻って来ると、道の上で見知らぬ男が長い火箸のようなものを持って僕に近づいてくる。怖くなりハッと眼が覚めた。

真っ暗な夢と言うのは実はあまり良くない。多分二人に迫る危険を予告するのだろう。10年近く前自分の会社を潰したが、それまで5年間国際シニアテニス大会をやっていた。ソコソコ知名度の高い大会で、毎年有明コロシアムを満員にした。(毎年でもないか…)しかしイベントのプロモーターなどは儲かる仕事ではなく、組んでいたTV局がせこく、やむを得ずプロモーターをやらされた。シャクに触ったのでそのTV局は一年でお払い箱にした。このイベントについては初めから夢見が良くなかった。真っ暗な泥沼を足で漕いで歩く夢、先も真っ暗で何も見えない。だからイベントをやっている間、他人から僕は一見華やかで得意げに見えただろうが、実体は暗闇の泥沼を彷徨する無様な姿であった。

小樽の家もよく夢に見る。3回目に引っ越した家で、やはり曰く因縁のある家である。木造の古い二階家であったが、真ん中に大きい廊下が走りその両脇に部屋がいくつもある。廊下の真ん中位に大きな幅の広い階段があり、その上にまた部屋が並ぶ。その階段のすぐ上の部屋にいた次兄は毎晩のようにうなされる。毎晩金縛りに遭い、毎晩唸っているのが僕にも聞こえる。寝ると布団がクルクル回りだし、その内猫が兄の喉笛を狙って迫ってくる。猫のフーッという吐息が聞こえると言う。困った母は祈祷師(シャーマン)にお祓いをしてもらい、その原因を尋ねた。案の定この家は昔の女郎屋で、次兄のいた部屋は逃げ出した女郎を閉じ込めておく鉄格子の付いた部屋だったようだ。この部屋で何人かの女郎が死んで、まだ恨みが残っているとのこと。祈祷師はお祓いをするとともに、次兄が寝る前に布団の下に刃物を置いておくようにとの指示を与えた。母は刃物を用意し兄の布団の下に入れた。その夜から兄のうなり声はピタリと止んだ…。   (2009年10月2日)