恐竜から人間へ (SD-06)

いたるところで恐竜が引っ込み人間がそれに変わる。バトンタッチのように穏やかに。小型恐竜の社会から人間の社会への移行。僕もその騒ぎの中にいた。恐竜といってもそんなに巨大なものではなく、せいぜいあのジュラシックパークのヴェラキラプトルをやや小型にした位のものだ。それもラプトルのように恐ろしいものではなく、凶器の牙や鈎爪は生えていない。黄土色の体にやや濃げ茶っぽい縞模様が入っている。まるで出来損ないの迷彩服のようだ。恐ろしくない恐竜はちょっと間抜けな感じだ。人と黄土色の恐竜が狭い所にゴチャゴチャ混ざり合ってバトンタッチをしている。小型恐竜が人間に何か紙バサミと書類のような物を渡している。その光景はやや猥雑な感じがしチョット笑える光景でもある。

その混乱の中で、僕は少し錆の入った古い懐中時計を一生懸命リセットしようとしている。何度も何度も。でも中々上手くいかない。懐中時計のガラスの内側に同じ大きさの丸い紙が2枚挟まっていて、リセットするとその紙が消えるようになっている。消える紙は一体何処に行くのだろう?それを何度も何度も繰り返しているうちに目が覚めた。

でも恐竜時代が終わってすぐ人間時代になった訳ではない。恐竜は三畳紀ジュラ紀白亜紀の1億5000万年間栄え、6500万年前突然消滅した。通説では小惑星が地球に衝突した。しかし恐竜の一部は鳥類に進化している。その後哺乳類が進化し人間、といっても原人?が出てくるのがやっと100万年前である。そして人間が知恵と武力を持って国を作り始めるのがせいぜい5000〜6000年前である。(チグリス・ユーフラテス流域やナイル、黄河流域…)つまり人間は長大な地球の歴史(46億年)の中では新参者である。それもわずかな期間でしかない。

その新参者が今地球の環境を破壊し変えようとしている。地球が数十億年の時間をかけて少しずつコツコツ貯めてきた酸素を主体とした大気組成を。始めは植物プランクトンの排泄物であった酸素。物をすぐ腐らせる猛毒の酸素。といっても大気中の酸素濃度は20%(金星は1%)、それまで生きていた生物を絶滅させた恐ろしい猛毒の酸素を、恐竜や哺乳類や人間は呼気として取り入れ適応した。

もし6500万年前恐竜が突然消滅しなければ、恐竜が進化を続け地球の主(あるじ)になっていただろう。(それまでも長期間主役だったけどネ…)ヴェラキラプトルは脳の容積も大きく、集団で狩をしたという。映画で、チビで薄気味悪かったコンピーどもも(屍肉食らい)頭が良さそうだ。1億5000万年も繁栄した恐竜に高等知能生物進化へのチャンスが与えられず、何故人間がこんな短期間に(わずか100万年間)偉大な進化と知能を与えられたのかは大きな謎だ。二足歩行は肉食恐竜もやっていた。ヒョットするとアーサー・クラークの「2001年宇宙の旅」のように、モノリスのようなものが猿人たちの脳みそを掻き回したのか?とすれば人間の次に来るものは誰だろう?マイケル・クライトンは小説で、数学者イアン・マルカムに、環境が破壊され地球に紫外線が大量に降り注げば、今までの生物は死滅するが、紫外線を新たなエネルギー源としてそれを活用する生物が繁栄するだろうと語らせている。

でも何でこんな訳の分からない夢を見るのだろう?まるで荒唐無稽だ。人間と小型恐竜が仲良く混じり合っている。まるでアラブのバザールのようだ。画面は混雑し色調はセピア系、古い街の雑踏の中で穏やかに権限委譲が行われる…。少しSF映画の観すぎか?「アバター」を見るのはよそうかな?どんな筋だか全く分からないが、僕の感ではあまり面白そうでもない…。この夢のように恐竜からバトンタッチされた人間は、このあと一体どうするのだろう?さらに次の生物にバトンタッチをするのか?それともジュセリーノアル・ゴアが心配する地球の危機を乗り切れるのだろうか?COP-15の結果はあんなものだろう。人間は相当追い詰められなければ、回りが屍累々になり自分の片足がもげる位にならなければ眼が見えない、分からない動物なのだろうから…。  (2009年12月22日)