置いてけ堀 (PD-54)

僕は札幌にいた。札幌のAS新聞社の近くのクライアントで、3人で相手を説得していた。打ち合わせが終わって帰ろうとすると、僕に声をかけてここまで連れて来たMTがいない。もう一人は僕の知らない男だ。僕はどうも置いてけ堀を食らったようだ…。僕はここまで自腹で来たけど帰りも自腹かい?せめて交通費位出して貰いたかったんだけれど…。

札幌といってもAS新聞社は有楽町のガード下にある。クライアントもそのすぐ傍だ。まあ夢だから状況的矛盾は良くある事。MTはAS広告社をリタイアした男で、昔農業関係の企画で組んでいた男だ。今でも時々企画で連動する。彼は僕を騙した訳ではない。こんな事は良くある事だ。

つい先週も某企業のPRの提案をしたが、その時知り合いのPR会社に声をかけて企画を書いて貰った。しかしこんなご時勢なので簡単に予算は取れそうもない。つまりPR会社に無駄をさせてしまった事になる。僕はきちんと状況を報告し、今すぐ仕事にならなかったことを謝らなければならない。それと同じで企画や営業は成功報酬的な所が有り、決らなければお金にならない。近頃提案は多いが決る事は少ない。何しろ広告業界は縮小後退する業種である。(それと出版と新聞もひどい)せいぜい余り他者に迷惑をかけないよう気をつけよう…。  

ところで置いてけ堀は今は置き去りにされるという意味で使っている。しかしこれは江戸時代の怪しい話だ。堀で釣りをして帰ろうとしている人が「置いてけ〜、置いてけ〜」という怪しい声が聞こえ、魚篭を置いて泡を食って逃げ出した事から、その堀を「置いてけ堀」と言うようになったと読んだ事がある。江戸の下町の方だったと思う。(確か落語のネタにもあったような…)  (2010年3月27日)