ファッション・ストーリー (SD-29)

今日は一晩中ファッションの夢を見せられた。それも多分何十年も前の話で、事実とも乖離しているだろう。ある男がミヤケ・イッセイを見出し彼を売り込んでいく。それまでファッションはフランス中心のプレタ・ポルテであった。彼はイタリアのデザイナーと組みミヤケを売り込んでいく。

イタリアブランドを取り入れ、ミヤケのデザインもイタリアのファッション・ショーに出品する。夢に出て来たミヤケのデザインはダイナミックで色は鮮やかなオレンジだ。(日本の古代の貫頭衣のように見える)彼はそのデザインで日本にショップを展開していく。イタリアのデザイナーとミヤケのデザインと、さらに日本の若手女性デザイナーも起用した。

このショップが成功したかどうかは夢では分からない。しかし昨年夏某デパートのファッション売場の提案した時、日本のファッションの現状はある程度勉強した。今ファッション業界は売上の低迷に悩んでいる。(ジャンルとしては衣料品)もうフランスを含めプレタ・ポルテは売れない。つまり高級既製服を着るような層は殆どいなくなった。

今やファッションはファスト・ファッションである。ユニクロを初め世界各地からファスト・ファッションが入ってきている。それとファッションの中心は渋谷109のようなギャルズ・ファッションである。それがマンガやアニメと同じようにクール・ジャパンとして日本を代表するカルチャーになっている。TGCは世界的にも有名になった。今や日本もファッション情報発信地として、その中心の一つになった。

そして今女性のファッションはシックで色っぽいものではなく、セーラー服を初めとするギャルっぽいユニセックス的なデザインが多い。そしてこれらが世界的にも評価されている。もうイタリアやフランスの高級ファッションは色あせている。つまりこれらを着る層が殆どいない。このポップなファッション感覚は日本独特のものだ。考えてみれば日本は面白い国だ。(あるいは面妖な国だ)

だから数十年も前のミヤケ・イッセイの夢を一晩中見せられるのは、何の事だか良く分からない。しかも事実とは違っているだろう。クール・ジャパンつまり日本の独自性のある文化の幅は広い。寿司も和食もアニメもマンガもファッシヨンも、デザインもアートも建築も…。(勿論これは家電製品や車にも当てはまる)日本人は精密でポップな文化を作り出すのが上手い。歌舞伎も文楽も浮世絵もそうである。そういう意味では世界的に貴重な民族だ。技術的でポップな民族である。  (2010年8月8日)