「夢であいましょう」 (PD-129)

今日は長い時間中国の夢を見ていた。僕は北京周辺にいた。僕の知り合いの真っ白い服を着たフックラした女性が(この頃僕の夢に時々出てくる。今日は真っ白いフワッとした上下を着ていた)僕の白い傘を持ち頻繁に北京周辺から南西の方向を(西安成都か?)行き来する。それを誰かに怪しまれる。僕にか?それとも何かの組織にか?唐突にこんな夢を見ても困惑する。漠然とした中国の地図が目に浮かび。その女性は長距離を何度も移動している。しかし僕は北京も中国も行った事はない…。

そのあとの起きがけの夢が懐かしい。夢の中とはいえ九ちゃんに会った。というか同じ部屋にいて、それもカーペット敷きの事務所のようなところで、九ちゃんは床に肘をつき手を顔に当てて寝転んでいた。僕は九ちゃんを褒める。「あの歌は他の誰がカバーしても九ちゃんのようには歌えないヨ。あのコロコロ声、コウロギ声は誰にも出せないヨ。九ちゃんは天才だ」(僕は以前から本当にそう思っていた)九ちゃんはニコニコ笑うがその顔は何だか元気がない。でも夢とはいえ九ちゃんに会えるのは光栄だ。

僕はそこにいるスタッフに「上を向いて歩こう」のカラオケを頼むが、というのは僕も歌が上手く(自分で言うか?中学の時音楽は5だった)昔はギターでこの曲を良く歌った。僕は九チャンほどではないがコロコロ声を出せた。しかしかかった曲は全然違う歌だった。僕は文句を言い九チャンの曲を探させる。部屋の中は薄暗かった。

九ちゃんが死んで何十年が経つんだろう?僕が最後に九ちゃんを見かけたのは、見てはいないが九ちゃんが乗ったJAL機を見かけたのは、山中湖のキャンプ地でだった。そのジェット機は東京方面から変な音をさせ飛んできて、ブルッブルブルンというような変な音を立て、ユックリと山中湖上空を通り過ぎ緩やかに右旋回をしつつ長野方面に消えていった。尾翼の辺りから薄い黒い煙を流していた。(映画では何故か白い煙だった?)大事故の事を知ったのは車で伊豆に移動し、浜辺のペンションで家族でテレビのニュースを見ていた時である。始めは確か「JALの機影がレーダーから消えた」という報道だったと思う。その後その飛行機に坂本九も乗っていた事が分かった。

そういえば九ちゃんは昔から何となく影の薄い顔をしていた。コミカルな演技をしていても何かはかなさを感じさせた。僕の中学の頃か高校の頃かNHKの「夢であいましょう」を見るのが毎週楽しみだった。子供の僕にとって本当に夢のような番組だった。歌とバラエティの楽しい、その頃としてはバタ臭いシャレたショーだった。司会は中嶋弘子という上品な女性。そのうち黒柳徹子も出て来たような記憶がある。そして坂本九やジャニーズ、坂本スミ子、田辺靖男、九重祐三子(この二人は後に結婚する)が次々に出てくる…。

皆若くてNHKらしく優等生だった。確か永六輔と中村八大も出ていた。いわゆる六・八・九コンビの歌も沢山作られた。オープニングの「夢であいましょう」もいい歌だった。そして何だか伸びやかでいい時代だった。(まだ高度成長の少し手前だったっけ?)だから世の中も明るかったがギスギスしてはいなかった。僕らは毎週この番組と歌を楽しみにしていた。その頃はテレビはまだ白黒だった。


でも夢とはいえどうして九ちゃん、坂本九が出てきたんだろう?しかも僕の前に。懐かしいやら、不思議やら…。  (2010年11月6日)