「珍萬」倒れる? (PD-147)

「珍萬」のおじさんが倒れた。僕は永田台のマンションを降りてきて「珍萬」の角まで来ると、おじさんとおばさんがが店の外にいた。そしておじさんが突然倒れた。僕は慌てておじさんを抱きかかえた。本当は動かさないほうが良いのかもしれないが、僕はソッとおじさんを抱きかかえ部屋に運んだ。そして111番?に電話した。しばらくすると救急車がピーポーを鳴らさず近づいてきた。そして中から女医が降りてきておじさんを診察した。おじさんは救急車に乗せられずそのまま部屋で寝ている。どうして病院に運ばないんだろう?

僕はマンションに戻る。すると女房が階段を下りてきて僕に話しかける。部屋で誰かが面妖な事を話していたらしい。あるいは電話か?一体何の事だ、一体誰だ?大体「珍萬」は永田台ではない。昔住んでいた新宿区若葉町に有った。若葉通りを東宮御所に向かう所、途中大塚着物学院の前を通り信濃町に向かう道があり、その対面に「珍萬」の小さな店が有る。カウンターとテーブルが二つの小さな店だ。僕が大塚着物学院の下「梅ノ木アパート」の住んでいたのはもう40年も前か?その頃から「珍萬」は有った。小柄なおじさんとおばさんの二人だけの店だ。しかしここのラーメンは美味かった。今でもこの店はサイトに出て来る。相変わらず二人でやっている隠れた名店だ。僕は良く出前を取り、大抵はチャーシュー麺と揚げギョーザだった。ここはチャーシューも柔らかく美味かった。とにかく丁寧な仕事をした夫婦だった。


まだ頑張っているらしいが、彼らはもう70代後半になるのか?養女は店を継がないようなので彼ら一代限りだ。勿体ない、誰か若い者が彼らの技術を継いでもいい筈だ。彼らが引退するとまた小さな食文化が一つ消えていく…。それにしても嫌な夢だ。倒れたおじさんは昔のまままだ若々しい。相変わらず五分刈?の短髪でまだ黒々している。でも実際はもう白髪だろう。何故突然彼らの夢を見たのか?おじさんに体の危機が迫っているのか?僕はそのうちもう一度「珍萬」に行きたかった。そしてチャーシュー麺と揚げギョーザを注文する。そうだなるべく早く行ってみよう。ノンビリしていると彼らは消失してしまう。本当に人柄のいい人たちで、彼らが声を荒げている所は見たことがない。いつもニコニコ笑っていた…。  (2010年12月25日)