危険と不条理に満ちた夢 (BD-13)

雪の夢と言えば、今まで何度か雪と危険に満ちた夢を見た。一度は雪の小山の上におり、そこは僕の町、僕の城のようであった。その小山には色々な造作が施されていて、僕はそこから勢いをつけて出撃する。何に乗っていたかはもう思い出せない。車かもしれないし、ヒョットすると自転車かもしれない。とにかく夢なので何でも有りだ。去年は一人乗りの車に乗り、それはF−1のような細長い車で、その車は何かの動物のようだった。それが最後には空をフラフラ飛びだした。確かにその頃は僕独自の企画で独創的かつ独善的な?イベントをやっていた。僕は自信満々でしかも多分傲慢であった。僕は一人で相手は無数にいた。だからその夢は多分僕の無謀さ、傲慢さをいさめる夢だったのだろう。その戦いの結果は覚えていない。多分敵とぶつかる前に目が覚めたのだろう。

別の夢では僕は猛烈に高い塔の上にいる。下は真っ白い雪原だ。塔はすごく高くしかもその先は細くてグラグラしている。僕はその塔あるいは棒にしがみつき、周りを睥睨している。でも目の眩むような高みで僕は恐怖に凍り付いていた。これも多分僕の独善的な傲慢さを表すものだろう。塔はグラグラしていたが折れなかった。僕は目の眩むような高みで、降りるに降りられず恐怖に困惑している所で目を覚ます。(実は僕は高所恐怖症だ)多分その時も何か仕掛けていて、かなり無理があったのだろう…。


僕は10年前国際的なテニスイベントをやっていたが、これは傍から見ると派手でメジャーなイベントに見えたが(実際も華やかだった)、内実はヒヤヒヤもののリスキーなイベントだった。だからこのイベントの初めから僕の夢は暗かった。というよりは真っ暗だった。僕は真っ暗闇の泥沼を腿までつかりながら、泥水を漕ぎながらノタノタ歩いていく。そして先はまったく見えない。何しろ真っ暗闇である。僕はこのイベントの真実を悟った。僕は5年間必死になってこのイベントを運営してきたが、やはり最後は大きな負債を背負って自分の会社を倒産させた。数年間その闇夜の泥沼の夢を何度見せられたことか…。でも僕は運命論者ではなかったので、何とかこの状態を切り抜けようと努力したが、僕一人の力ではどうしようもなかった。つまり世間でよくあるように個人プロモーターの破綻である。数年間は自己努力で何とか切り抜けられるが、最後にはどうしようもない破綻がやって来る。やはりそういう経緯を辿ってしまった。その結果会社の破産、自己破産で10年間を棒に振ってしまった。まあ自分でできる最善を尽くしたので悔いはない。でも今考えるとやはり僕の傲慢さが死を招いたかもしれないと感じている…。

このイベントの最後の夢も象徴的というか、悪い冗談のような夢だった。僕は何か小さなものにつかまりながら泥沼から浮かび上がる。そして宙に浮く明るい、芝草が広がっている緑の大地に着地しようとする。でも着地出来ずに目を覚ました。だからその後の10年間は失われた10年であった。まるで日本経済のように?でもそれでは日本経済様に失礼だ。僕は今までに何度か大きな仕事を成功させたが、その裏には無数の失敗がある。しかもそれは僕にとっては不条理なものも多い。でも世間的にはよくある事だ。例えば会社間の足の引っ張り合いで負けたとか、相手の実力者の妬みを買ったとか…。だからそんな事で随分いい仕事を棒に振った。でもそれは世間ではよくある事だ。例えば会社での出世争いでも、必ずしもその人の能力だけではなく、その人の運不運や、所属派閥の強弱にもよる。あるいはあくなき野心の持ち主であるとか。あまり淡白ではうまい世渡りは出来ない。近頃僕は女房にすぐ文句を言われる。せっかくいい所までいくのにすぐ諦めると。それで何度チャンスを逃したかと。でもそれは僕の性格なので仕様がない?子供の頃漱石の「坊ちゃん」を読んで苦笑いした記憶がある。まるで自分だった。だから近頃僕は女房に頭が上がらない…。


でも今日のテーマは危険と不条理の夢だった。夢とはいえ真っ暗闇の夢や、テイクオフできない夢など、本当はあまり見たくない夢だ。それとすごく高いところ、しかも細いグラグラした所に上る夢も本当は見たくない。でも見てしまうので仕様がない。しかしあのイベントの真っ暗闇の泥沼の夢も、他人には一切言わなかった。自分で最後の結果まで分かっていても?僕は現実には明るく元気に一生懸命やってきた。だから今でも基本的にはメジャーマインドである。常に前向きに人生を?考える。でももう数年しか生きそうもないのに…。