巨大な青年 (PD-169)

昨日の午後自分の部屋でゴロ寝をしていると夢を見た。僕の次兄が誰か友達を連れてくる。次兄はまだ若く高校生のようだ。その青年は物凄く大きく6畳の?和室で立ち往生している。頭が天井スレスレで少しかがんで、どうしようかと次の動きを考えている。何だか動きづらそうだ。巨大だが巨人という印象ではない。ホッソリしていて顔は小さい。普通巨人症は顔も長くて顎もでかい。でも彼は普通の小さな顔をしている。それにしてもどこかで見た顔だ。次兄のその頃の友人だったか、あるいは数日前にも夢で見たか?高校生の頃は次兄は学校では番長だった。一見大人しく見えるが喧嘩は強かったらしい。時々腹にサラシを巻いて出かけていった。多分その頃の友達だろう。でもそんな巨大な男はいなかった筈だ…。

でも次兄は今はもう69歳で、しかも病気で死にそうである。10数年前胃ガンで胃を切り取り、今は腸捻転を?起こしている。生きているのがつらく、もう死にたいと言っている。可哀想に…。でも彼の連れてきた青年あるいは少年は誰だろう?次兄の親友はKNという青白い文学青年か、MKという公認会計士を目指す利口な青年だった。KNは高校時代自殺未遂を起こし、ある日の明け方魂を飛ばして我々を訪ねてきた。いわゆる幽体離脱という奴か。我々兄弟は二人して金縛りに会った。外は既に薄明るいが、廊下のほうからミシッミシッという人の歩く音がする。来るなァと思ったとたん布団の上からのしかかられた!そして激しい金縛り。僕は必死になってジタバタした。そして気合を込めてエイッ!と金縛りを解いた。

起きてから聞くと次兄も金縛りに会っている。つまり兄弟共通の知り合いの筈だ。2日後学校を休んでいた次兄の親友KNが出てきて、次兄に語ったそうだ。「自殺したが死ねなかった。お前の所に行った。オンチャンの所にも行ったぞ」と。僕の所まで来なくてもいいヨ!明け方の金縛りは有り難くない。彼は睡眠薬自殺をしたが失敗したらしい。その後は無事三流大学に入り、卒業後普通のサラリーマンになった。たしか車のセールスをしていたと思う。昔はこういう文学青年が多かった。僕の長兄も文学者志望だったが、経済学者になった。つまり昔の社会風潮と言うか、太宰治に憧れるというか…。そんな風潮は今はもう残っていない。この感覚は多分戦前、戦後間も無くの感覚だ。今は村上春樹は世界を飛び回り、自分で美味い食事を作り、自分でシャツにアイロンをかけ、小説も書いている…。


それにしてもあの巨大な青年は誰だったんだろう?よく思い出すと次兄の高校の頃、近くにあんな顔の友人がいたかもしれない。でも彼は普通の背丈だった筈だ。多分次兄と同じ応援団の仲間だった。白昼夢とはいえ突然あまり驚かさないで欲しい…。