黄色い動くもの (PD-191)

その者は僕の子供だろうか?初め彼はOBさんに背負われて、僕らは何処かの、人で賑わう売り場に?いる。僕と女房とOBさんである。その内僕はその者を引き取る。そして前抱えにしたり、脇抱えにしたり、時々落としたりする。その者は幼児位の大きさで、丸々と太っている。そして見事に真黄色である。そしてその者は良く動く。

僕がその者を、あるいはその子を落とすと、彼は僕を嫌がり、何処かの隅に素早く隠れてしまう。その者は既に人の形をしておらず、次第に小さくなり、薄い小さな四角になっている。その四角は端に幾つかの爪を持っている。多分何かの部品のように爪がある。僕は床に跪きその者を、薄いプラスチックの?プレートを捕まえる。彼は嫌がって逃げようとする。でもこの者は僕に所属するものだ。

僕は彼が逃げないように小さな物入れ、何とかシューズケースのような物?の中に入れ、チャックを閉じてしまう。OBさんは既に何処かへ行き、僕の傍には女房がいるだけだ。でもこの黄色い者は何だろう?子供のようでいて子供ではない。大体真黄色の子供がいる訳はない。そしてその者は既に数センチ四方の薄い小さなプレートになっている。だからこれは何かの象徴だろう。お金だろうか?それとも何か貴重なアイデアだろうか?あるいは僕の持っている企画ソースだろうか?


でもその者は小さなケースの中にちゃんと納まっているのだろうか?何だか僕からしきりに逃げ出そうとしている。もしかしたら幸運という運命か?でも僕は今や無為の人である。幸も不幸もない。ただ与えられた最低限の生活基盤の中で、細々と余生を過ごすより他にない筈だ。だからこの小さな黄色いプレートは一体何だろう…?