関係修復ドリーム (PD-235)

この頃は一日おきの人工透析で生活の殆どが食われているようだ。体調は改善したようだが、体は弱くなっている。やはり一回4時間の透析は僕にかなりのダメージを与えているようだ。そして透析をしない日でも殆ど家でゴロゴロ寝転がっている。あまり散歩にも出なくなった。何だか情けない人生だ。というかこれは既に余生だ。だからこの頃の僕の夢は、何だか昔の懐かしい人や、僕に強くかかわりを持った人の夢を見る。どうも僕は夢の中で関係修復、改善を図っているのだろうか?自分が生きている内に僕の周辺の因業を取り除こうとしているのだろうか?

今日の夢はまず深夜、僕は大きな仕事のネタを見つけ、それをクーデター男のMZにやらせようとしている。彼に声をかけると、彼は意外そうな顔をする。それはそうだろう。彼にとっては僕は打倒すべき会社の上層部だ。彼は自分の欲望で3人組を作り、組合を説得というよりは半ば脅して僕ら、その時の経営陣を追放した。自分が権力を取りたくて、組合を扇動して権力を、社長の位置を得た。しかし彼は社長になっても恐れを知らず、自分の限界を考えず、今度は親会社の社長を脅し、驚いた社長は「とんでもない奴がいる」という事でMZを首にした。彼はDA社社長になってからほんの数年で、今度は自分が首になった…。

さらにその数年後彼は肺癌にかかりそのまだ若い命を失う。死に急いだというべきか、因果応報というべきか?彼はその死の朝僕の所に魂を飛ばし現れた。そして僕とマージャンをやり安い手で僕から上がった。彼は得意そうだった。それが彼の挨拶代わりだったんだ。何とせこい奴。僕は怒るより笑ってしまった。でも何故彼はそこまで死に急いだのか?彼の強引な生き方は一体何だったのか?多分彼は今回の人生で自分の役割を十分に果たす事が出来ず、多分また生まれ変わって残した役割を果たさなければならないだろう…。でもまあ殆どの人は、殆どの人の人生は凡庸なものだろうが。

彼の経歴は忙しい。家が貧しかったのか?高校を卒業するとすぐパン屋の職人になる。でもその後WS大学に入り直し、サッカーも続ける。でもプロのなるほどの力はなかったらしい。その後彼は逗子市のサッカー指導員の資格を取り、子供達に有料でサッカーを教え始める。そしてDA社で僕がテニスを仕事にしたように、サッカーを仕事の一部とした。つまりあのTU会長の力で一億円以上の金を集め、つまりスポンサー企業を集め、日本サッカー協会と組み「少年サッカー手帳」を作り、全国のサッカー少年にそれを配布した。それは毎年続けるべきものだったが…。

そういう意味では彼も僕と同じように公共的なマインドを持っていた。だから僕ももっと彼の優れた所を理解すべきだったのかも知れない。でも会社では彼のズサンさやルーズな所の方が目立った。だから僕らは彼をいい加減な奴だと思っていた。僕は今日の夢で、彼が「少年サッカー手帳」を作るために、その大量部数の印刷を安くする為に、台湾の印刷屋をを開発したので、その辺りも買って彼に声をかけた。そして彼は夢の中で僕に対し意外そうな顔をする。どうも僕は夢の中で、彼の能力を認め、彼との関係修復、改善を図ったのかも知れない…?

彼がクーデターを起こす少し前、管理室担当役員が僕の所、つまり取締営業本部長の僕の所に来て、彼の金銭的な処理のいい加減さ、ズサンさをなじり、彼への処分を僕に迫ってきた。僕は自分の職分上やむを得ず、社長他連名で彼を減俸及び降格処分にした。僕は本来そういう事には興味がなかったが、営業本部長であるから止むを得なかった。つまり僕はそういう役職に本来着くべきではなかった…。でも彼は他の者が上に立ってもやはりクーデターを起こしただろう。彼は自己利益のため強引に権力を争奪した。彼には元からそういう悪業の因果があったのだろう。人間というのは何とも難しい生き物だ…。

そして明け方の夢には、僕の腐れ縁NGが出てきた。僕は彼に新たな仕事を発注する。彼は素直に僕に対し「有難う」と言った。そしてアシスタントの女の子と共に2階に?上がっていった。この事も近頃の僕の気持ちに沿うもの?だった。以前彼は頻繁に僕の所に暗い顔をして出てきた。あるいは彼は暗闇の中にいた。僕は彼との以前からの深いかかわりを思い出し、近頃は毎日の自分の祈りの中に、彼の事も加えていた。その僕の心がNGに通じたのか?

僕は毎日風呂の中で祈る。でも果たして風呂の中が祈りの場としてふさわしいのか?それは分からない。僕は自分の事や家族の事を祈ると共に、近頃は死んだNGの事も必ず祈っていた。「NGさん、貴方には生前大変お世話になりました。今の僕があるのは貴方のお陰です。貴方は生前はデザイナーとして社会に貢献し、その死に際しては、家族に十分の物を残されました。貴方は立派です。だから安心して早く高い所に登り、幸せにお暮らし下さい…」僕は暗い夢に時々出てくる彼が、今だ暗い地面を彷徨っているのではないかとの危惧を抱き、この頃は毎日のように彼の為にも祈っていた。早く高い所に昇天できるようにと…。その彼が夢の中で僕に感謝の念を述べる。そして上に上がる。


どうも近頃僕は人工透析で命を繋ぎながら、何だか今までの自分の周辺の因業を洗っている、浄化しようとしているような気がする。自分が生きている内に…。まあいいやとにかく今はやっと自分の生を繋いでいる状態だし、もっと積極的に何かをやるというパワーもない。毎日毎日自分の細い生を繋ぎ、毎夜毎夜対人関係修復の夢を見る。多分今はこれでいいんだろう…。