異形の空間(PD-260)

僕は銀座あたりで飲んでいた。でも終電は東京駅12時発だ。僕は東京駅へ向かおうとするがもう間に合わない。僕はどこかでユックリ走っている電車に飛び乗った。その電車は昔の汽車のようにデッキがあった。僕は横浜に向かうが、いつの間にか車体は見えなくなり、僕の体だけが、あるいは僕の魂だけが異形の空間を走っていく。

そこは古色蒼然とした木造の街並みで、一つ一つのものがすべて骨董品のようだ。僕はこれは売れるぞと内心考える。それとその街並みは箱のような空間で、その骨董の街が線路のように、あるいは方形にまっすぐ伸びている。でもそれは箱ではない。それは天井が空いているからだ…。

僕はしばらくして横浜に辿り着く。そこは僕が昔住んでいた並木町の近くのようだ。でも並木町につくには正面の高い山を、急峻な山を越えなければならない。左手には海が光っている。僕はそこにいる男に並木に出る道筋を聞いた。男は僕に告げる。並木に出るには海に出てそこの崖を越えなければならないと。

僕は海に向かう。近づくと海の右側が崖になっていて、僕はその岩場を降り、少し水につかりながら岩場の向こう端をよじ登らなければならない。あるいは岩場の上にある堤防?を横切り街の入り口に辿り着く。堤防の後ろは大きな溜池になっている。どちらも結構難しい道だ。そこで僕は目を覚ます。夢なのであの骨董の街並みも、並木町の手前の空間も、異形の様相を呈している。まるでみんな造り物じみていた。わざとらしい急峻な山はまるでディズニーランドにある山のようだ。


僕は起きてすぐトイレに入る。しゃがむとすぐスルスルと順調に大の方が出る。さぞかし立派な奴が出たと思って下をのぞくと、トイレの奥に少しその一端が見えるだけ。どうしてだろう?普通はちゃんと壮大な奴が見えるはずだ。一瞬僕はまだ夢の中にいるのではないかと思ってしまう。この頃はどうも夢うつつの人生だ。夢と現実が重なり合って、どちらが真実か判別しがたい…。